3. いろいろな出し
(この項は以前に別ブログに投稿したものを加筆・修正したもの)
だし汁は、料理における味付けの基本となるものである。だからと言ってプロの料理人になるわけではないので、基礎知識程度に知っておけば、必要且つ十分と言える。実際にプロにはそれぞれの店により、それぞれの匠により、目に見えないいろんな工夫をしノウ・ハウを持っているものである。
「出汁」にする素材は、工夫次第でいくらでもある。例えば、煮魚の残り汁、刺身にした魚のアラなど、中華料理では焼豚や煮鳥の残り汁をラーメンのスープにしたりする。また、同じ和風だしであっても、ほんの少しオリーブ油と香辛料を加えれば洋風の感じになったり、ラー湯や胡麻油、コショウを加えることにより中華風になったりする。ここでは香辛料を使わない和風料理のみに的を絞り、簡単に述べてみるので各自オリジナルのものを作ってみるとよいだろう。
だし汁を大別してみると、次のようなものが挙げられる。以下に記載したそれぞれの「だし」は、即席だしを除き材料の水を1リットルにしたもので、仕上がりの歩留まりとしては、85~90%位を目安にして適宜加減すればよいだろう。
① 一番だし(汁)
材料:昆布 10 cm角1枚、かつお節 10~20g
用途:吸物、薄味の煮物の野菜煮物など
作り方
a. 前処理として、キッチンペーパーに酢をしみこませたもの、又は濡
れ布巾を固く絞って昆布表面の砂やほこりを除去する。
予め水を入れた鍋に入れ火加減は中火以下で煮る。
b. 昆布は、沸騰し始めたらすぐに取出す。
沸騰させてしまうとヌメリが出てきて、だし汁が濁ってしまうので
注意。
c. 続いてかつお節を加え、火加減はそのままで沸騰するまで待つ。
10秒前後で火を止め、かつお節が自然に鍋に沈むまでまつ。
d. ザルの上にキッチンペーパー又は固く絞った濡れ布巾を置き、下
は鍋かボールで受けてゆっくりと濾(こ)す。
e. ザル上のかつお節は、軽く絞る。強く絞ると濁りも出るし、味も
悪くなる。
② 二番だし(汁)
材料:一番だしを取った残り物
用途:一般の吸物や煮物
作り方
a. 水を入れた鍋に一番出しを取った昆布とかつおを入れ、中火にかけ
る。
味の改善が必要な場合、一番だしと同じ材料をそれぞれ 1/4 程度加
えるとよい。
b. 沸騰してきたら、火を弱めて5~6分待つ。
c. 1番だしと同様に濾せば、できあがり。
③ かつおだし
材料:かつお節(各種削り節でもよい)15g前後
用途:麺類のつゆ、味噌汁、煮物
作り方
a. 水を入れた鍋に、かつお節を15g前後入れて中火で沸騰するまで煮
る。
b. 沸騰したら10秒程度で火を止めて、細めの網でかつお節をすくい取
る。
濁りが気になれば、布巾で濾してもよい。
気にならなければ、そのまま野菜の煮物にしたり、味噌汁に使うの
もアイディアの一つである。
④ 昆布だし
材料:昆布 10 cm角1枚
用途:麺類のつゆ、おでんのつゆ、味噌汁
作り方
a. 予め一番だしのように前処理した昆布を10 cm角 5~6 時間水に浸
しておく。(夏場は、1 時間くらい短くてもよい。)
b. そのまま鍋に入れ5~6分中火で沸騰させ引き上げればできあがり。
⑤ 煮干だし
材料:煮干 軽くひとつかみ
用途:煮物、味噌汁
作り方
a. 前処理として、煮干の頭や内臓を取り除いておく。粗めのザルを使
用し、作業時にできたクズを軽く洗い流して使用する。
生臭さが気になる場合は、ほんのり色がつく程度にカラ煎(い)り
しておけば、風味もよくなる。
b. 鍋に入れ中火で10程度煮る。以下かつおだしと同様。
⑥ えびだし
材料:干しえび 軽くひとつかみ(煮干の場合より少なめ)
用途:ソーメンのつゆ、野菜の煮物
作り方
a. 前処理として、干しえびの足を取除き、水を入れた鍋に30分程度水
に浸してしておく。(味にそれほど敏感でない場合は、足付のまま
でも構わない。
b. そのまま火にかけ、中火で7~8分沸騰させ引き上げればできあが
り。以下、かつおだしと同様。
⑦ 即席だし
最近は便利な即席だしが市販されている。それらは「かつお」や「昆布」の前述の化学調味料などを混合したものだが、使い方は各メーカーの包装表示に記載されている。商品の中には「ブイヨン」という表現のものがあるようだが、これらは即席カレーやシチュウーをつくる際の具を煮る時、肉じゃが、野菜の煮物(特に根菜が多い場合)に活用すると重宝する。「中華ブイヨン」と書かれているものは、本来中華料理に適するが、煮物の場合は複合的な味を楽しむものが多いので気にすることはない。
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