11. 危険な食品添加物(4)
加工助剤
消費者庁では食品添加物の表示について、原則として、使用した全ての食品添加物を「物質名」(名称別名、簡略名、類別名も可)で食品に表示するように義務付けている。しかし、その表示法について、製品のラベルスペースの問題もあり、あまり細かく表現すると表示し切れないことも起こり得る。そこで、一括表示や用途名による表示など簡略表示も認めている。
また一方では前にも書いたように、食品製造工程ではいろん種類の製造(加工)助剤を使用する。それもある種の製品を製造する場合、幾つかの素材を組み合わせて原料にする。それぞれの素材メーカーでも各種の加工助剤を使っている。すると、その種類はものによっては膨大な種類の添加物や加工助剤になってしまう。家庭で調理する場合の味噌や醤油といった隠し味のレベルとは訳が違う。いくら消費者の要求があってもそれらをすべて表記することは不可能になる。従い、それらの加工助剤に関しては、製品包装への表記を免除している。但し、安全確保の観点から仕上がった製品に含まれないことや、残存基準を設けて規制している。
以下、気になる加工助剤を一部挙げてみることにする。
小麦粉改良剤
製パン工程において、発酵中の生地の物性(伸展性、即ち膨らみ特性)を改良し、良い食感を得るために酸化剤が必要である。反応特性として即効性のものには速効型にはアスコルビン酸など、遅効型には臭素酸カリウムがありなどがあり、後者の方が良い品質が得られる。
用途:主としてパンで、他の食品では殆ど使われていないようである。
動物実験では、中枢神経麻痺、血球破壊、脾臓肥大、尿細管閉塞、尿閉、下痢、嘔吐。かなり強い急性毒性で、遺伝子損傷性、染色体異常などの報告がある。
ラットでは腎臓がん。国際がん研究機関(IARC)では、臭素酸の発ガン性の 恐れがあると指摘、英国、EU諸国、南アフリカの一部の国、危険な食品で有名な中国でさえも禁止している。米国は日本同様使用量規制だけである。製パン業界も自粛方向で一部の製パン会社はまだ使用している。
用途:殺菌剤・漂白剤として、広範囲に使用可能な添加剤で、水産練製品、ゆで麺、数の子、など
現在はしみない良い薬があるが、昔怪我をした時に消毒用としてはよく使われた「オキシドール」はこれである。
動物実験で、粘膜のただれ、遺伝子損傷性、染色体異常。マウスでは発がん、食中毒症状。ラットでも強い急性毒性が確認されている。
亜硫酸ナトリム、亜硫酸水素ナトリム、無水亜硫酸(亜硫酸ガス)
これらは、漂白剤・保存料・防カビ剤・酸化防止剤・殺菌剤などいろんな機能を持つので、天然果汁、ブドウ酒、乾燥果物、かんぴょう、海老のムキ身、糖蜜、コンニャク粉、ゼラチン、煮豆など広く使われる。
ラットのエサに亜硫酸ナトリムを0.15%を加えて食べさせた実験では神経炎や骨髄萎縮が観察されているようだ。
ヒトの場合、亜硫酸ナトリウム 4g を飲むと中毒症状が現れ、5.8gでは胃腸に激しい刺激。発がん性もあると言われている。(以下割愛)
[余談] 最近の医学では、怪我をしたときに「オキシドールを使うのは良くない、無駄な抵抗である」というのが通説で、湿潤養生又は湿潤治療と言って「清潔な水で洗うだけ」にし、早期に医者に行くのがベストとされている。
添加物の表示は、こちら を参照。
表示制度に関しては、こちら も参照。
食品表示については、「食品表示検定」というものがあり、正しい適切な表示ができるように民間の任意団体であるが指導・検定する協会がある。
先に述べたように、ざっと1500種類以上もの添加物や加工助剤があるので、ここには挙げなかったが増粘剤、結着剤、乳化剤、光沢剤、脱色剤、呈色安定剤などすべてを取り上げるのは時間的にスペース的に困難であるで、この辺で終わりにする。最後にまとめとして、食品添加剤の機能として上図の如くまとめておくので知識としてご覧頂ければ幸いである。
一週間足らずでここまで駆けて来たので少々疲れた。
少しお休みをして、次回は切り口を変えた視点から考えてみることにする。