10. 食品添加物(合成甘味料、発色剤、着香料)
合成甘味料・発色剤・着香料
今回は、数は少ないが題記のうち危険性がある添加物について考えてみよう。
食品は加工工程で加熱するものが多く、自然の素材が持つ色や香りが減退や消失することがある。そこで、ある種の添加物と添加物を反応させたり、又は単独で添加物を加えて色や香りを強調することがある。味の補強剤としても添加物を使う。特に香りというものは本来揮発成分である。熱を加えたり、混合・成形する長時間の加工で食欲をそそる本来の良い香りが減退する。
消費者は肉は肉らしく香り、魚は魚らしい香りがしないと、食欲や美味しさを感ずるレベルが下がってしまう。それらは購買意欲の低下にもつながる。
「甘い」は旨(うま)の語源とされるが、甘さだけでも美味しく感じないものである。料理は正に五感で食べるものであり、消費者の評価も厳しい。それらをすべて満足させ安全に且つ低価格で製造しなければならないため、メーカーは頭を痛めている。
合成(人工)甘味料
料理によって甘さの種類もいろいろで、砂糖の種類も黒砂糖をはじめとして三温糖、上白糖、グラニュー糖、ザラメなど実に種類が多い。アクのないすっきりした甘さが必要な場合もあれば、こってりした甘さがよい場合もある。それに価格の問題もあり、安いコスト甘さをを確保するためには、砂糖の何倍も甘さを持つ合成甘味料を使用することも多い。中でも危険と思われるものを一部紹介しておく。
アスパルテーム(パルスイート)
用途:清涼飲料(特にノンカロリー飲料に使われることが多い)、ガム、ゼリー、アイスクリームなどの冷菓、糖尿病患者の治療食品、ダイエット 食品など。
蔗糖の 100 ~ 200 倍の甘みを持つ人口甘味料であらゆる食品に広く使われている甘味料である。
基本的には体内では大部分が分解も代謝も受けず、体外に排泄される。健常者にそれほど問題にならがないと言われるが、アレルギー体質の人には特に注意が必要。
ヒトの場合、脳に関する障害が大きいと言われているほか、糖尿病、がんの増殖、うつ病等に影響が大という報告もある。
動物実験で脳腫瘍、骨格異常、染色体異常発生、白血球減少。また、カルシウム排泄量の増加もあるが、これは一般砂糖でも過剰摂取でも起こる現象。ラットでは発がん性も確認されている。
サッカリン(サッカリンナトリウム)
用途:清涼飲料、各種練製品、佃煮、漬物、煮豆、アイスクリーム、ジャム、ガム、菓子類
ラットでは、子宮・膀胱がんの発生。染色体異常、下痢、嘔吐、麻痺。他の動物ではがんの発生はない。
ステビア(甘味料)と同様に、低純度のものほど危険とされる。
アステルパームとともに、人口甘味料では広く使われている。
世の中では確かにこれらが「危険」と騒がれているものの、本当に危険なのか大事故は発生してないようである。それに、がんで死亡した場合その原因が多岐にわたり現状では特定されないため、人工甘味料だけが原因でないことも考えられる。
それよりも、ダイエットのために僅か砂糖の分だけを危険性があると言われるものに置き換えたり、安いものをつくるためにこれら人工甘味料を使用するといった考え方の方が問題があるように思われる。
発色剤
亜硝酸ナトリウム
用途:食肉加工品(ハム、ソーセージ、コンビーフ、ベーコンなど 魚卵加工品(いくら、たらこ、筋子など)
動物実験では、下痢、嘔吐、血圧降下、血球崩壊、チアノーゼ、尿細管の閉塞、中枢神経麻痺、遺伝子損傷性、変異原性、発ガン、催奇体形、染色体異常などが確認されている。
保存料の項でも述べたが、亜硝酸ナトリウムは、タンパク質中のアミノ酸と反応し、強い発がん物質ニトロソアミンを合成する。
また亜硫酸系の他の添加物とともに、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸、酸化防止剤のBHT、OPP(いずれも前掲)などと反応し、発がん性物質をつくるとされる。アレルギー体質の人や乳児には特に危険である。国内では死亡事故例もある。
着香料
イソチオシアン酸アリル(アリルイソチオシアネート又は
アリルイソチオ シアナート)
用途:各種香辛料・調味料(練りわさび、練りからし、粉わさび、ソース、マスタード)、からし味噌、わさび漬、スナック 菓子 類、米びつの虫除けなど、かなり広範囲。
動物実験でも水泡、皮膚刺激、発がん性、発育阻止、遺伝子損傷性が確認されている。
本来アブラナ科の植物に含まれる辛味成分で、辛子油として精製されるが、唐辛子の辛み成分であるカプサイシンとは異なる。
人工合成のものは、催涙ガスや毒ガスとして使用される青酸化合物の一種で、少量で視力障害、気道炎、肺水腫、皮膚や粘膜を強く刺激するなどの毒性が強く、実生活での可能性はないが、多量に使うと大事故になる。辛子系(唐辛子、わさび、大根)の香辛料の辛み成分の強化に使われる。
人工甘味料についてここでは2つのみにとどめたが、実際にはアセスルファムカリウム、スクラロース、ミラスィー、ズルチン(発がん性により使用禁止になった)、チクロ(発癌性や催奇形性で使用が禁止)、キリリトールなど、ほかにも10種類くらいあり歯磨き粉やガムなどに多く使われている。なお、輸入品に関して使用禁止の添加物は検疫所で防止措置をはかられている。イソチオシアン酸アリルは、聴覚障害者用の火災警報器にも使用されており、深い睡眠中からでもこの臭いをかぐと確実に起きるという。
次回は加工助剤についてのお話。