ま行のことば
上下のスクロール:マウスのセンターホイルを押したまま
上下に微動してください。
スクロールロック:マウスによっては、自動スクロール状態
をロックできるものもあります。
画面の拡大・縮小:[Ctrl]キー + マウスのセンターホイル
ま
的(まと)を射(い)る
「的を得(え)る」は誤り。「的を射る」とは、要点をうまく捉えている
という意味で、同義語でない。
「的を得る」は、道理にかなっているという意味で、慣用的に耳にする
が、恐らく「当を得る、正鵠を得る、正鵠を射る」との単なる混同でだ
ろう。正鵠は「セイコウ」または「セイコウ」と読む。
「広辞苑」をはじめとする、『大辞泉』、『大辞林』といった名だたる辞
典にもこの「的を得る」は載っていない。
ちなみに、「正鵠」は弓道の的の中心の黒星のことである。
稀(まれ)に見(み)る
「稀に見ぬ」は誤り。「稀に見る」は、めったにない。非常にめずらしい
という意味である。
文法的には、マ行上一段活用の動詞「稀に見る」の未然形である「稀に
見」に、打消しの助動詞「ぬ」が付いた形だが、そもそも否定的な意味
を持つ言葉に打消しの助動詞をつけるから間違いになる。
「ないことはない=ある」、「稀ではない=いつもある」から容易に判
る。
眉(まゆ)をひそめる
「眉をしかめる」は誤り。「しかめる」のは顏である。ただ、不快なとき
の表情として眉も歪んでしまい、歪みには「しかめる」の意味も含まれ
ているため、慣用的に使われている。
正しくは「ひそめる」だが、それぞれ議論もあり許容範囲かも?
困ったときには、辞書で確認しよう。
み
実(み)入(い)りのいい仕事(しごと)
「身入りのいい仕事」は当て字で誤り。「実入り」とは、穀物などが実を
結ぶこと。また、その実の入り具合を言い、転じて儲けのよい、実質的
な手取りのよいと解釈して使うようになったらしい。
話し言葉では、判断できないが書き言葉では注意したい言葉である。
見(み)かけ倒(だお)し
「見かけ倒れ」は誤り。ネット上に時々見かける誤用である。
会話は成り立っていても、それは相手が善意に解釈してくれ、あえて細
かな間違いを指摘してくれないだけである。
三日(みっか)に上(あ)げず
「三日と空(あ)けず」は、助詞の使い方の間違い。「毎日のように」と
いう意味であるが、現実的に三日かどうかを厳密指しているわけではな
い。従い、三日に上げずデートをしているとは言っても、二日に上げ
ず、四日に上げず・・・のような言い方はしない。
みっともないことでした
「みっともありませんでした」は誤り。同様に「みっとも悪い」、「みっ
ともよくない」も誤用である。
丁寧語にするには、「みっともないことでございました」とする。
「みっともない」は、「つまらない」、「せつない」、「儚(はか)
い」などと同様に一つの形容詞であって、「みっとも+ない」と二つの
単語から成る言葉ではない。従い、「みっともない」以外の表現は使わ
ないことである。
民俗芸能(みんぞくげいのう)
「民族芸能」は誤り。意味はそのままでも理解でき話し言葉では通じる
が、書くときに非常に多い間違い。「民族芸能」は極めて限定的な用法
で、大部分は「民族」が使われている。
む
無我夢中(むがむちゅう)
「夢我夢中、無我霧中」は誤り。「無我夢中」とは、あることにすっかり
心を奪われて、我を忘れてしまう様をいう。誤変換に注意。
「無我」は本来仏教用語で、自分に捕らわれる心を超越した心。そこか
ら自分を忘れるという意味になった。また、「夢中」は物事にすっかり
熱中して、ほかのことを考えられない状態を指す
め
目(め)にもの(を)見(み)せてやる
「目にもの(を)言わせてやる」も使われるが、それぞれ会話のシチュエ
ーション(ここでは「局面」)によって使い分ける必要がある。使い方
を誤ると、意味の解らない変な表現になってしまう。
どちらも(を)は使わないのが普通。
例えば、これまでさんざん酷(ひど)い目に遭わされたので、今日とい
う今日は……の場合、「目にもの見せてやる」が正解。
同義語にあるように「目にもの見せてやる」とは、酷(ひど)い目に遭
わせる、思い知らせる」という意味がある。
一方、あまり使われない慣用句でだが「目にもの言わせてやる」とは、
目つきや目くばせで気持ちを伝えるという意味を持つ言葉である。
目端(めはし)が利(き)く
「目鼻が利く」という慣用句はないので完全な誤り。
ただ、「目が利く」、「鼻が利く」としては、ものの良し悪しが判断で
きるという意味で使われる。
「目端が利く」とは、辞書にある意味を見てもらえば分るようにニュアン
スが異なるもので、単なる善悪の判断ではなく、柔軟性のある、賢明な
という意味を持つ。従い、用法を知らないと恥をかく使い方になる。
も
黙秘権(もくひけん)
「黙否権」は間違った当て字。尋問などに拒否して黙り込んでしまうの
で、「否」を使ってしまいそうだが、試験にも出る慣用句で、誤変換に
注意が必要。
なお、黙秘権の行使には、そのメリットやデメリットもあるので、つい
でに勉強しておくとよい。参考資料。
求(もと)めよ、さらば与(あた)えられん
「求めよさらば開かれん」は誤りで、正しくは「叩け(よ)、さらば開か
れん」(新約聖書マタイ福音書七章にあるイエスの言葉)である。
「求めよ、さらば与えられん。尋ねよ、さらば見出さん。門を叩け、さら
ば開かれん」は、上記福音書の訳書にある言葉で、「求めなさい。そう
すれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたき
なさい。そうすれば、開かれる」という意味で、何もせず待つのではな
く自ら積極的に努力すれば、必ずよい結果が得られるという戒めの教え
である。
間違いやすい日本語も、自分で勉強をしなければ、正しい知識も身につ
かないものである。