今回は「のんびり旅とゆったり温泉」をテーマにしたもので、観光目的地は少ない。もちろん食事はいつものことながら、しっかり美味しいもの企んでいる。天気予報の都合で2日目は初日の予定であった松本城からである。
松本市は大変思い出深い場所
一つは、従業員300名足らずの田舎の中小企業から縁故もゆかりもない大企業に転職し、入社3日目にして出張を命ぜられたところである。入社試験も受けず 2 日間にわたる面接試験はあったが、ヤル気と技術開発・設計・建設の実績のみで即戦力と評価され正社員として中途雇用された。約30年間の現役時代の1/3~1/2は、他人がやらない又はできない各種の機械・プラント(工場)の技術開発・設計をやってきたが、その初めての担当ジョブである。いまもある有名な住宅メーカーの手作業の巨大な工場を全自動化するもので、45年前の当時の金額で10億円のラインが3つも必要であった。正月休みも返上し、上司と半年かけて計画・開発・設計した。
二つ目は、新婚間もない頃の5月の連休に埼玉から秩父・松本・乗鞍を越えて飛騨高山を目指していたが、雪解けがいつもより遅く開通している筈の道が不通で、やむなく諏訪湖・富士方面に旅程を変更したことがある。
観光に支障は
なかった天気
ホテルを出るときの小雨も約1時間後の到着時は止んで曇り、予め計画していた城の裏の市営駐車場へ。
国宝松本城を背景に写真を撮りながら、お堀周辺を歩く。櫓の一部が工事中だが、休日でお休み。
記憶が薄れていて初めて入城する感覚である。城の周辺も整備されて随分きれいになり、昔の面影はなく観光開発がなされている。
観光客は外人を含めて結構いたが、外人の観光客の中には1、2歳程度の幼子を連れた方が多い。城内には傾斜角60度の蹴上の高い階段があるが、highdy はまだ手摺なしでも昇降できる。
(警備員が安全に注意を促しているので、一応握っているフリはしたが…)
城を出る頃雨が降り始め、赤い橋を回って駐車場に戻る際に少々ひどくなったが、観光中は遠くもしっかり見え支障はなかった。
駐車場のすぐそばの松本神社の前にそば粉を使ったいろんな「おやき」と麺類を扱う店があり、それぞれ思い思いのネタのおやきと信州そばで昼食。食べ終わった頃には雨もほぼ止んでいた。
時間があるのでちひろ美術館
次なる観光目標は、松本市内から約40分のところにある、安曇野市の安曇野ちひろ美術館。ここは計画変更で時間にゆとりができ、紫陽花の希望で追加した観光地である。
東京の「いわさきちひろ記念事業団」(現在の東京の「ちひろ美術館」)が開館20周年記念事業としてちひろの母方の実家の周辺をちひろ公園にし、中に美術館を建設したものである。
行きはよいよい帰りは怖い?
さて、この日の宿は前日のホテルからは約20分ほどの距離にある日本屈指の山岳温泉の一つ、白骨グランドホテル。
本来一筆書きにコースを決めるが、
前日急きょ行程を変えたものだから同じ158号線を4回通ることになる。カーナビにセットしたら別のルートも示したので、喜んで選択したから問題が起きた!
(事前調査が甘かったと言える。)
後で判ったが何と乗鞍スカイライン(一般車は走行できない。)にも繫がるルートで、スーパー林道経由である。本来ならば沢渡(さわんど)経由で、
1時間10分 の筈が 1時間25分 もかかった。
それでもカーナビは渋滞なしで 1時間40分 の予測(この時点で変だなとは思ったのだが…)だから15分の短縮。
つまり、普通の人が30分かかる「落ちれば谷底のへアピンカーブの連続」を15分で走ったわけである。途中のすれ違いは殆ど不能の道、出会った車は1台のみ、観光客は殆どは知らない道ということもホテルで聞いた。
こんな道でもブレーキは殆ど使わないのが highdy のテクニックだが、中型車免許以外のライセンスは何も持っていない。
秘湯にふさわしい穴場のホテル
約15分間林道を下りながら「こんな谷底にそんな立派な温泉があるの?」と、話題になっていたが本当だった。谷底とは言っても標高1400mもあるから凄い! その昔、秘湯と言われる「乳頭温泉」に行ったことがあるが、さらに素晴らしい良い温泉である。
上高地と言えば(透明できれいな)沢渡(さわんど)温泉になるが、こちらの方が飲める温泉でもあり泉質は良さそうだ。食事はお座敷でも椅子席でも選択自由。
ウエルカムドリンクは通常到着時にサービスされることが多い飲み物だが、ここは夕食に出た!男性は地酒、女性はジュースを選択、さらに食前酒として山ぶどうのワインも別にサービスされた。
私たちより明らかに年配だが「歳は内緒よっ!」と、スラリと細身でスタイルのよい80歳近くの女性がとても元気にはつらつとした動きで、会席料理を準備し愛嬌も良く会話も楽しい。前日のホテル同様、料理も実に美味しい!
ホテル内部もその名にピッタリの雰囲気で、従業員の応対も教育が行き届いている。夜は気づかなかったが朝食も同じ場所で、何と森の中で食べていることが判明、気持ちのよい「高原の朝」であった。白いご飯以外に温泉水でつくった白粥が絶妙の味を出している。箸休めに出た小物はどれも美味しく何種類かは土産に買った。環境にあったメニューで、夕食も朝食も無理をして海の産物を出さないのもよろしい。
ここでもお笑い事件・・・
●紫陽花が化粧バッグを財布と間違て金庫にしまい、化粧バッグが行方不明と大騒ぎに、「あなたがどこかにしまったのでは?」と highdy にまで疑いがかけられた。(大切な財布をしまい忘れるなんて!!)
●金庫とドアの鍵を間違え、ドアの鍵が合わないと騒ぐ紫陽花に、「姉さん
それは金庫の鍵じゃないですか?」と義弟。「お兄さん、さっきこんなことがありましたよ」報告してくれる義弟夫婦。(いつも鍵は highdy が管理するが、たまに、しない人がしないことことをするとこんなもの)
●前日は夫婦毎に部屋が分かれていたが、ここは20畳余りの和室にトイレに近い方から義弟、義妹、紫陽花、highdy と並んで寝ることに。ところが、はるか彼方の義弟夫婦のイビキが珍しくうるさい!(highdy は、7時間程度なら夜手洗いにはいかないことが多いので、全員同室の場合はいつもこの順番に寝る)。
私たち兄弟姉妹の旅にエピソードのない旅はない