久し振りにパンを焼いたら・・・

  こんなパンが焼ける筈だったのに…
  こんなパンが焼ける筈だったのに…

 別宅に居るといつものパン屋さんで「ミミ付5枚切り~!」とはいかない。

highdy  は食パンの外皮が好きで、別宅では仕方なく食パンのミミがある時はそれを買っている。やや厚手のものが6枚入って52円だからかなり安いが、いつものパン屋さんに比べると味は当然ながら雲泥の差がある。遠くのスーパーでは厚いもの薄いもの混ざって30cm位の高さがあるものを100数十円で売っている。ミミはピザトーストやラスクを作るには最適であるが、できればそのまま食べたい。時には美味しい食パンを作ろうと思い、段取りを開始した。 

 先ずはドライイースをぬるま湯で溶いて放置しておく。その間に他の材料を計量してベーカーに放り込み、メニュー・焼き加減・タイマーなどセットすればOK。ちょうど準備が終わる5分位経った頃には、イースト菌がぶくぶくと泡を立てて活動し始め、いい頃合いになる。

ふと思いついたのがヨーグルト用に牛乳が買ってあった。いつも1リットルすべてを使うのだが、寒い冬場はヨーグルトはそれほど食べない。そうだ、パンに使おうということで240mlを計量しておいた。作業中ぬるま湯を使った量だけその中から減量する。

焼くパンはいつも1斤。やや大きめだが不正競争防止のために定めた農林規格と同じで小麦粉340g(参考までに英国斤では、1ポンドのことで小麦粉450g)である。牛乳を使うので、粉ミルクやスキンミルクはなし。油脂は無塩バターの代わりにショートニングを使っている。いつもはレーズンを使うことが多いのだが、今回は砂糖の一部に黒砂糖を加えてみた。黒砂糖はぬるま湯で塩とショートニングを併せて溶かしておく。ぬるま湯が40℃以上だったり砂糖が多過ぎると、イースト菌の活動が悪くなる。その辺は元プラントエンジニアだから心得たもの。鼻歌交じりにルンルンと準備し、ベーカーに材料を投げ込んだ。ここまでは良かったのだ。

 ところが、いつもの習慣でぬるま湯220mlを無意識のうちに計量して置いてあった。それに通常は液体を真っ先に入れ、主原料入れて適度に掻き回したところでイーストを入れる。

それなのに何を血迷ったか、あっ!、忘れ物!とばかり、慌てて思わずうっかりザーッ!と入れてしまったのである。

さぁ大変!! ベーカーの中ではドボドボと小麦粉が泳いでいる。いまさら2斤にセット替えするのも面倒だから成り行き任せで放置しておいた。

   押しつぶされて無残な中身の部分
   押しつぶされて無残な中身の部分

 夜が明けて保温されているベーカーを除くと、いつもはきれいな山形がほぼ平らで地割れのようなひび割れができている。

取り出して表面を食べるとかってないほど香ばしくむちゃくちゃ美味しい。

ただ、中身の部分はしっとりながらもパサパサ、グルテンが分解されたのか粘りがなくてボロボロ。仕方がないからそのままビニール袋に小分け、押しつぶして冷凍庫へ。後でオーブンで焼き直すか、フライパンで焼くか、衣をつけて揚げパンにでもして食べることにしよう。

 すべての事故は慣れから起こるというが、安易にことを運んではいけないという教訓であろう。