タンクトップのお話

     ひと目見ると、汚らしい墨染めのエコバッグだが・・・
     ひと目見ると、汚らしい墨染めのエコバッグだが・・・

  最初にこの写真をご覧になった方は、何だと思われただろうか?

実は染色素材にエコバッグ(100%綿)を採用した紫陽花墨染めの作品である。

さて、ここでその先の利用を想像(創造)できる方はクリエーターとしての素質は十分と言える。

(紫陽花が通う教室と本ブログ併設の染め工房茜」は直接には関係ない。)

これを見た染色の先生のひと言。「紫陽花さん、その端を切ってタンクトップにしたら・・・?」だそうだ。発想に豊かさがある。

彼女の仲間はどんな作業も自分達だけでできるベテラン揃いで、先生がおられなくても自主的に何でも計画・実行できる人達ばかりである。だから先生も忙しい時には気楽にお休みになるし、「皆さんご自分の教室を持てばいいのに・・・」と仰るらしい。が、誰も教えることは好まず、気楽に自分たちの好きなことがしたい人ばかりの集まりである。

ところで、先生のひと言で「その気」になった紫陽花、帰って来るなりそのバッグの底の縫い目を解いて欲しいと要望する。エコバッグとは言いながら、バッグの底の両端は本格的な縫製処理がなされていて簡単にほつれない、破れないようになっている。

両端を解いてやると、彼女は底部分の糸を解き衣服の裾らしく縫い直し、両側にはスリットも入れて、市販のタンクトップと同様にしてしまった。流石に洋服屋さんの娘である、手際がよい。200円そこそこのエコバッグが特製衣装に化けた瞬間である。

さて、ここからファッションショーの始まりで、次から次へと着替えて3回も4回も highdy の部屋に現れる。お気に入りの服を一着買った気分らしい。古希の老婆のファッションショーはお見せするのに堪えないので割愛するが、確かに上に羽織るものによってはあたかも高級品に見えたりするから不思議だ。「着こなしの上手い女性は安上がり」と聞いたことがあるが、正にその通りである。

やはり染色に限らずどんな芸術家・クリエーターも発想が豊かでなくてはいけない。これは発明家にも通じることで、自称発明家の highdy の連れ添いである紫陽花もその素質と実行力がある。

若い頃その道を歩んでいれば、highdy より素晴らしい発明家やデザイナーになれたかも?知れない。

 

余談

 highdy は若い頃から開発・設計技術者(プラントエンジニア)であったので、「タンクトップ」と聞くと大型貯槽の上部を瞬間的にイメージしていたものである。

しかし、話の前後からどうも女性衣装の話らしいことが解った。

そこで今度は、ああ、そうか…ミルクタンク上部、つまり「おっぱい」の上(トップ)に着るのでそういうのだろうと、これまた勝手に解釈していた。

ところが、それも間違っていて自分達男性の着るランニングシャツもその範疇に入るもので、上記リンクの Wikipedia の解釈であることが判ったのは恥ずかしながら中年になってからである。

 

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