薬について(後編)

 昨日、変な常駐ソフトのお蔭で散々な目に遭ったが、このソフトの話は日を改めることにし、薬の話を続けてみよう。3連載の予定であったが時間切れにより本日で終わりにする。

 

はどうして高いの?

いきなり脱線するが、世間ではドラッグ(Drug=薬、薬物) という言葉を耳にし、10年余り位前まではヤク(麻薬)あるいは乱用薬物のことと思われていた。が、最近ご近所の「ドラッグ・ストア」に代表されるように本来「薬」のことである。但し、ドラッグ・ストアとは、一般用医薬品を中心に健康美容関連商品や日用品生鮮食品食品飲料日配食品その他)を販売する小売業の一種で、法律上は純然たる薬局ではない。医療法の改正により、昔の薬局と現在の薬局は取扱い内容が異なる。

 

さて、日本には前稿のように多数の製薬メーカーがある。私がそれらの施設の開発・設計・建設・製造などに関与したいろんな案件も数%位はある。これらの会社でいろんな薬を製造しているが、新薬を開発する場合、一般的に数100~500億円もの費用がかかる。ただ、当たれば(当たる確率は11,000分の1と言われているが…)僅か1年間に1,000億円の売り上げになるそうだ。

 

では、どうしてそんなに多額の費用がかかるのか、これが今回受講して得た知識だが、先ず新薬の開発のためには次のような過程があり、そのドキュメンテーション(資料作成)だけでも、官庁に報告や審査請求するのに軽トラック一杯の容量になることも度々と言われる。主な開発過程をみてみると、

① 新しい物質の合成・抽出あるいは候補物質の絞り込み

② 動物での試験(これには、一般毒性、薬物動態、一般薬理、薬効薬理、

  特殊毒性の各試験が含まれる)

③ ヒトでの試験(臨床試験…一般的に「治験」と言われることもある。

これが大変で、

  第Ⅰ相試験(臨床薬理試験) 初めてヒトに試す試験

   少数の健康人を対象 主として安全性、薬の作用、量など

  第Ⅱ相試験(探索的臨床試験) 効果と安全性の確認

   少数の患者を対象 治療効果と安全性、有効性の程度、副作用の種類

  第Ⅲ相試験(検証的臨床試験)

   多数の患者を対象 有効性と安全性 従来品との薬効や副作用の比較

さらに続く

  第Ⅳ相試験(製造・販売後の臨床試験)
   多数の患者を対象 特殊な患者群(肝障害、腎障害)、高齢者(70歳

   以上)、小児など

まあ、これだけの項目だけでも大変なのに、×人数、×費用…… 高くなる理由(わけ)である。

以上のような臨床研究をすれば、開発期間も当然長くなるのもうなづける。わが国では大体10~18年というが、欧米の2倍近く要している。これは単純に次に述べるドラッグ・ラグの期間からしても想像に容易だろう。

 

日本ではドラッグ・ラグ(Drug Lag=新薬の採用までの期間)が長い

何処かの国で新薬が開発されてからそれを導入するまでの期間が長い。

最も早い米国で1.38年、2番目の英国で1.4年、3番目のスイスで1.47年、なんと日本は世界で38番目で3.88年というデータがある。

いろんな臨床試験をして安全性や薬効、副作用を調べるにはそれ相応の期間もかかるだろう。止むを得ないことかも知れない。それでも厚生労働省の審査・検討が結果的に甘く薬害事故は繰り返されている。

 

そこで先生に質問した。「こんなにドラッグ・ラグがあるのに、日本は何故世界一の長寿国なのですか? 医療技術の進歩のお蔭ですか?」と。教授答えて曰く「技術よりも、世界に冠たる日本の誇れる国民皆保険制度によるものです」ということであった。確かに日本の諸制度は素晴らしい。しかし、一方でその恩恵に浴することができない人々もまだ多い。しかも、いま日本では世界の中でもトップで高齢・少子化社会に突入した。おまけに先進国の中では消費税(世界の国々の消費税率)は最も低く財源もないとくる。先日の雑記「政界を愚痴る」にも書いたが、世界の中の日本を知らない素人(タレントも含む)議員、1年生議員は変な破壊屋親分(金魚)の糞にならないで欲しい。

 

ジェネリックをもっと使うべき

ジェネリック(正しくは、Jeneric Drug=後発医薬品)は、なぜ先発医薬品に比べて安いか? 答えは先の「薬について」のコメント欄を見てもらえば納得いくだろう。新薬の開発には莫大の費用がかかるのに対し、ジェネリックは開発費用が殆どかからない。何故そんなに開発費がかかるのか? については上述した。

医師は薬を処方する場合、原則薬の有効性成分を一般名称(Jeneric Name)で指示する。ただ、この業界では医師や薬剤師に製薬メーカーの裏金又は現物が動いていることが少なくない。従って、ジェネリックを使いたがらない人も多い。それには外国の安いジェネリックに対して日本メーカー保護する意味もあれば、自分たちの利益を確保する意味もある。

ここであまり裏話を暴露すると、官庁の役人、大学教授、病院の医師から刃物、いやピストルの弾が飛んでくるので慎むことにしよう。

現代は患者が医師にすがってお願いする(お任せスタイル)時代ではなくなった。自分で治療法、医療技術、薬の副作用を調べたり、自分なりの努力でいろいろな対処法を研究しつつ医師に相談する時代に変わってきた。薬についても、治療費を安く効果的にするために、ジェネリクの採用を頼める時代である。十分に最新情報を持つ中堅医師なら知識も豊富になっている。

 

医薬品と化粧品の違い

ところで、皆様は、医薬品と化粧品の違いは何だと思われるだろうか?

最後に再び脱線!

結論からいえば、同じと言って良い。異なる点は香料(Flavor)を含むか否かの違いである。どちらも同じ技術レベルで製造されているものである。ただ、医薬品の臨床研究ほど審査は厳しくないようだ。残念ながらこの業界や洗剤業界は多数経験したが、ハード(機械装置的設備)中心だったので詳しいことは知らない。

 

以上、少々長くなりましたがこの辺でブログは暫くお休みにしたいと思います。ホームページの他の部分の更新は時折しますが、ブログ更新は試験終了の8月初旬の予定です。

 

 

[Back]  [Blog Top]  [Next]

 

[ホームページを見る]    [買い物をする]

 

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    フクハク (日曜日, 01 7月 2012 19:34)

    かかりつけ医は、未だにジェネリックを断られ、
    困っています。
    今では、薬剤師に申し出てジェネリックに変える
    ことも出来るようですが・・・

    試験頑張ってくださいね。

  • #2

    Highdy (日曜日, 01 7月 2012 19:42)

    フクハクさん

    ひょっとして、その医師は製薬メーカーから何らかの恩恵にあずかっているかもしれませんよ。
    医師の処方箋により、変更することはできないか相談してみるといいと思います。
    ただ、医師から成分名称でなく、特定品名が書かれていると融通が利かないかも知れませんね。

    はい、勉強も頑張ります。有難うございます。